スーパーに並ぶ食材が変わったり、クローゼットの服を入れ替えたり。 私たちは普段、食事やファッションで「季節」を感じていますよね。
毎日入る「お風呂」も、ほんの少しの工夫で、四季折々の風情を感じられる素敵な場所に変わります。
日本には古くから、季節の植物をお風呂に入れる「季節湯」という美しい文化があります。 お子さんと一緒に楽しみながら、日本の伝統や季節感に触れられる「お風呂のアイデア」をご紹介します。
1. 日本の伝統「季節湯」を親子で体験しよう
日本の季節湯には、「家族の健康を願う」という温かい祈りが込められています。教科書で習う前に、肌で感じる体験はきっとお子さんの心に残るはずです。
🎏 5月:こどもの日の「菖蒲湯(しょうぶゆ)」
端午の節句には、菖蒲(しょうぶ)の葉をお風呂に浮かべます。 東京都浴場組合(東京銭湯)の解説によると、菖蒲の強い香りが邪気を払うと信じられていたことや、「尚武(武道を重んじる)」という言葉にかけて、子供の健やかな成長を願う行事として定着したそうです。
- 親子の楽しみ方:
- 「葉っぱが剣みたいだね!」と形を楽しんだり、頭に巻いてハチマキにしてみたり。
- 独特の清々しい香りを楽しむことで、嗅覚への刺激にもなります。
🍊 12月:冬至の「柚子湯(ゆずゆ)」
一年で一番昼が短い「冬至(とうじ)」には、柚子湯に入ります。 これには「融通(ゆうずう)がきく」という語呂合わせや、柚子の強い香りで邪気を払う意味があります。
また、科学的な視点でも、東京ガスなどの情報によると、柚子の皮に含まれる成分(リモネンなど)が血行を促進し、体を温める効果が期待できるとされています。
- 注意点:
- 柚子の成分は肌への刺激になることがあります。肌が敏感なお子さんの場合は、丸ごとのまま浮かべるか、皮をネットに入れてお楽しみください。
2. イベントに合わせて「色」と「香り」を楽しむ
伝統行事だけでなく、現代のイベントもお風呂に取り入れてみましょう。特別なものを買わなくても、スーパーで手に入るものや、入浴剤の工夫で十分楽しめます。
- 夏:ミント(ハッカ)でひんやり風呂
- 暑い日には、ハッカ油を数滴垂らしてみましょう(入れすぎに注意!)。お湯は温かいのに、湯上がりはスースーして涼しい不思議な体験ができます。
- 秋:ハロウィンは「オレンジ色」
- カボチャそのものを入れるのは難しいですが、オレンジ色の入浴剤を選んだり、ミカンの皮を干したもの(陳皮)を浮かべたりして、色で雰囲気を楽しみましょう。
3. 五感を刺激して記憶に残す
「プルースト効果」という言葉をご存知でしょうか? 特定の香りを嗅ぐと、それにまつわる記憶が鮮明に蘇る現象のことです。
お風呂で嗅いだ「菖蒲の青い香り」や「柚子の甘酸っぱい香り」。 こうした香りの記憶は、お子さんが大きくなった時、「ああ、そういえば小さい頃、お母さん・お父さんとこんなお風呂に入ったな」という温かい思い出として蘇ります。
おわりに:完璧じゃなくていい、季節の楽しみ
毎回準備する必要はありません。「今日は冬至だから、柚子を一個だけ買って帰ろうか」そのくらいの気軽さで大丈夫です。
湯船にプカプカ浮かぶ季節の実や葉っぱを眺めながら、「いい匂いだね」「あったかいね」と笑い合う。 そんな何気ないひとときが、家族のかけがえのない宝物になりますように。
参考ページまとめ
- 東京都浴場組合(東京銭湯)https://www.1010.or.jp/
- 東京ガス「ウチコト」https://tg-uchi.jp/
- 環境省(ウォームビズ)https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/warmbiz/
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